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あんずジャーナル

2017年10月16日 製品・サービス »ScholarOne

ISMTE(国際マネージング&テクニカル編集者学会)参加レポート

8月8日~11日まで、アメリカ・コロラド州デンバーで開催されたISMTE(国際マネージング&テクニカル編集者学会)に参加しましたので報告します。

学会中は数あるセッションの中から主に下記のテーマに関するセッションに参加しました。

1.SNSを通じたジャーナルの宣伝

SNS関連のセッションでは、SNSを通じたジャーナルの宣伝ツールの紹介、そしてそれを用いた成功事例について発表がありました。
宣伝ツールはKUDOSというツールで、研究者、出版社、そして学会がそれぞれが発表した論文やジャーナル、プレスリリース等を一括でTwitter、Facebook、LinkedInに共有できるプラットフォームを展開しています。サービスの売りは1)簡単操作、2)情報の価値の向上、3)しっかりしたサポート体制であるのとことです。

欧米の研究者の間では、特にLinkedInとFacebookの利用率が高く、また出版社や学会はTwitter、Facebookの利用率が高い様です。そして、これらのサービス内における実績の公開や議論、情報の共有が非常に活発に行われています。しかし、SNS上における仕事とプライベートの境界線が無くなることについて、多少の反発がある様ですが、それ以上に研究者にとっては自分の実績をより広く、そして多くの方々に知ってもらい、話題性をキープさせる事の方が優先される様です。

その他のSNSを用いた宣伝例としてはYouTubeとPodcastを活用した例です。YouTubeの活用は総会やセミナ-等のライブ配信や実施後の配信、新たな医療技術や治療方法等について流し、Podcastでは著名な学会員等の紹介やインタビュー、学会が担当する領域に関するニュースを流しているとのことです。また、これらは会員向けだけではなく、会員以外向けのコンテンツが半分以上を占めているとのことです。日本ではFacebookを活用している学会で非常に稀ではあるにも関わらず、欧米(特にアメリカ)ではYouTubeの活用が進んでいます。特に大きな学会では独自のメディアチームを学会内に持ち、Webを活用した宣伝を行っており、欧米における「学会の活動目的とその意義」についてあらためて実感しました。

杏林舍としても学会へのサポートを深める、そして強めるためには、この様な宣伝やプロモーションサポートも有効なのではないか?と感じました。

2. 新しいジャーナルの創刊について

杏林舍でも携っている新ジャーナルの創刊は、現在、世界中のジャーナル創刊の波の中にあることが再確認できました。ただし、欧米と国内の差は欧米では既存のジャーナルが利用域の分離(例:循環器領域の学会が「不整脈」や「心筋梗塞」に特化したジャーナルを発行するなど)が中心の様です。このため、既に「土台」が有る上での新規創刊が中心になるので、立上げに必要なプロセスについては再確認が出来たのですが、創刊後の宣伝については主だった情報が得ることが出来なかったです。しかしプロセスについては、これまで杏林舍が提供してきた内容に問題が無いことが確認できました。

今後は創刊後のサポートに関する情報収集の強化を図りたいと思います。

3. ジャーナルの編集・査読に関するデータについて

杏林舍ではこれまでジャーナルの投稿・査読状況に関するデータの作成と分析を行い、担当ジャーナルの編集委員会に提出してきましたが、これまで提供してきた情報は海外のジャーナルと大きな相違はありませんでした。しかし、今後は著者(投稿者)の声を把握し、編集委員会にフィードバックする必要性を感じました。

その理由としては我々が提供している状況はあくまでの編集委員と運営側の視点からとらえた情報であり、そこには投稿者の意見は反映されていないためです。ジャーナルをより良くするためには、投稿者からみてジャーナルの投稿受付、査読プロセスや期間、投稿~査読完了までのプロセスに関する感想や意見を収集し、実際の運営に反映させることで、より良いジャーナル作りのためのサポートが可能になると思います。

4. 論文やジャーナルの影響度に関する指数について

日本の学術業界では影響度を図る指数としてImpact Factor(IF)が一強状態ですが、これはあくまでもジャーナルレベルでの影響度を図る指標です。これに対して論文レベルと著者レベルで影響度を図る指標についての説明がありました。ジャーナルレベルではImpact Factorが有名ですが、論文レベルではAltmetrics、著者レベルではh-Indexがあり、それぞれのレベルでの影響度を表す指標の活用方法について説明がありました。

アジア圏やヨーロッパ圏では、今でもImpact Factorの影響度が非常に高く、それ以外の指標に対する関心が薄いと発表がありました。―全くその通りだと思います。IFはあくまでもジャーナル全体の影響度を表す指標であるため、あくまでもジャーナルのマネジメント側が参考にする際に使われるべきだとの意見がありました。

では、その代りにどの様な指標があるか?ということで、Altmetricsやh-Indexが紹介されました。簡単に説明すると

Altmetrics
論文が引用回数だけではなく、ウェブ上のブログで話題になった回数や、SNS上においてシェアやリツイート話題となった回数等を表した指標。
 
h-Index
公開論文数とそれぞれの被引用回数をもとに計算される。これまで公開した論文は、少なくともh本が、h回の被引用回数を満たしていることを表す指標。
(例: h=3の場合、これまで公開された論文の内、3本の論文は3回以上引用されている。)

この様に、IFだけで研究者を評価することは不公平な評価となる可能性が高く、これらのジャーナルとは別のレベルにおける様々な指標を活用し、評価につなげる事が重要である、との発表でした。

全体な総括としては、データ分析、ジャーナル創刊等、我々のサービスを再確認する事が出来たことと、また、SNSでのジャーナルプロモーションという新たな可能性を発掘できたことが大きな収穫でした。特にSNSについては、日本で展開する場合には進めるに値するか否かを判断するためのしっかりとしたリサーチが必要になります。また、その他の内容についても、常に変わり続ける業界の中で、今後も情報収集を継続することが必要だと感じました。

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