インパクトファクターが当たり前の時代に!?
※2022年6日時点の記事です
2022年6月に、Journal Impact Factor(JIF)の運営母体であるClarivate Analytics社より、Journal Impact Factorの収載基準変更が発表され、大きな話題になっています。
SCIEに収載された雑誌のみに付与されていたJIFが、ESCI収載雑誌へも付与されることになりました。
これまでJIFの取得には、SCIE収載への収載が必要とされ、雑誌の国際基準への準拠と、一貫した雑誌運営を実施していることに加えて、雑誌における論文や編集委員の引用状況も厳しく審査されてきました。
つまり、JIFを付与される前から、かなり高いレベルで引用されていることが雑誌に求められてきましたが、今後は、ESCI収載の要件である、雑誌の質的基準(国際基準への準拠や一貫した運営体制)を満たしていれば、どの雑誌でも理論上はJIFの付与対象となります。
この変更により、JIFをもつジャーナルが現在の約12,000誌からおよそ21,000誌となり、約75%増加する (約9,000ジャーナル増) ことになります。
しかし、きわめてニッチなトピックを取り扱っている雑誌や、高引用を期待できない地域的な研究を取り扱う雑誌にとって、本当にインパクトファクターが近しい存在になるのでしょうか。それについては今回の付与基準緩和は、ニッチでも価値のある世界的雑誌は多くあること。また、地域的な研究に特化した雑誌にも価値がある雑誌は多く、これらの雑誌の引用状況を追跡するべきという社会的要請にクラリベイト社が答えたことになります。
したがって、これまで検討していなかった雑誌も、JIF申請を検討してみる価値は十分にあると言えます。
ただし、良いことばかりとは言えません。JIFを取得しやすくなる一方で、以下のような影響も考えられます。
- IF取得へのハードルが下がり、これまでIF取得をあきらめていたジャーナルのESCI申請が増加することで、審査期間が長期化し、採用率も低下する
- これまで以上に詳細で厳しいチェックが行われるようになる。
- JIFを取得後に基準を満たさなくなった雑誌が取り消されるケースが増える。
多くの雑誌に広く門戸が開かれたことで、雑誌の知名度や投稿数を増やす大きなチャンスですが、上記の影響を考えると、JIF取得を検討する雑誌は、なるべく早く申請をしたほうが良いでしょう。
もしESCIの申請を検討されるのであれば、まずは雑誌の現状を把握し、審査基準にどの程度合致しており、どの部分が不足しているのかを正確に把握し、課題を浮き彫りにしてください。そして、いち早く課題に対する改善策を実施する必要があります。申請を検討する段階から適切な準備を進めることで、JIFを計画的に狙えるようになります。
【参考 URL】 https://clarivate.com/ja/news/clarivate-announces-changes-to-the-2023-journal-citation-reports/
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