よくあるお問い合わせ
お問い合わせ

What's new

more
HOME > 製品情報  >  S1MNEWS  >  ジャーナル・インパクトファクター(JIF)の取得にあたって

ジャーナル・インパクトファクター(JIF)の取得にあたって

S1MNEWS No.27 特集
Journal Impact Factor(JIF)の取得にあたって

2024年6月、公益社団法人 日本医師会・日本医学会が発行する「JMA Journal (https://www.jmaj.jp/)」が、初めてのジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor ; JIF) の1.5を取得しました。ジャーナル創刊準備の段階より編集長を務められます福井次矢先生に、JIF取得までの道のりや今後の展望についてお話を伺いました。

編集長は自身の経験を活かす

福井次矢先生
公益社団法人 日本医師会・日本医学会【英文誌】JMA Journal
Editor in Chief 福井 次矢先生(社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院 常務理事)
2024年6月、日本医師会様発行の英文誌「JMA Journal」が、ジャーナル・インパクトファクター(JIF)を取得されました。おめでとうございます。その記念にということで、本日は創刊からいまに至るまで、そしてこれからのお話を、編集長を務められます福井次矢先生に伺います。まずは、創刊に至った経緯を、いろいろとご苦労いただいてここまできていると思いますので、そういったことを含めて振り返っていただければと思います。
日本医師会様は、JMA Journalの前に「JMAJ」という英文誌を発行されておりましたが、新たにJMA Journalを創刊した経緯や目的を、最初にお聞かせいただけますか。

【福井】 私自身としては、アメリカで一般内科の診療の傍ら勉強もして公衆衛生で学位を取ったこともあり、公衆衛生と一般内科の分野での知り合いがアメリカに多くいます。その中である先生から2017年の春ごろに連絡があり、アメリカ医師会が発行する「JAMA Network Open」という雑誌の創刊の編集委員会メンバーになることになりました。立ち上げのための編集委員会ののち数回の会議を経て2018年にJAMA Network Openが創刊されました。 論文をオープンアクセスにしていたので、ものすごく忙しい編集委員会だったのですが、 2020年になって早くもJIFがつきました。最初から5.032と非常に高いものでした。
また、JAMA Network Openには世界中から論文がどんどん投稿されてきます。当初からテーマや分野を絞りすぎない感じの方針で、オンラインかつオープンなイメージで運営してきました。
私にはそういう経験がありましたので、日本でもJAMA Network Openに匹敵するような、いろいろなテーマのもの、そして海外に向かって発信できるようなものを新しくつくりたいと、ずっと思っていました。

JMA Journalはゴールド・オープンアクセスにこだわりたい

【福井】 日本からも、オンラインで、ワールドワイドな雑誌を、なんとか出したいと強く思いました。
まず頭に浮かんだのが、掲載料についてでした。日本では、きちんとしたジャーナルの掲載にはお金がかかるのは当然という考えもある一方で、それがかなりのハードルになっているのも事実でした。考えまして、しばらく掲載料をゼロでできないかという話を周囲にしました。無料だとしても、どのくらい時間がかかるかはわからないけれど、必ず日本からきちんとした論文が出せるジャーナルになる、というところはいまも確信しています。
JMA Journalのひとつの“売り”は、“掲載料ゼロ”すなわちゴールド・オープンアクセスなのです。通常、研究者は研究が終わったあとに論文を書くわけですが、研究費は研究に費やしているため論文掲載の費用は残っていないことが多いのです。その状態で投稿する場合、所属機関が捻出してくれればいいのだけれどもなかなかそうもいかず、結局自らのポケットマネーでということもあります。現実として、掲載料ゼロについては皆さん「本当にありがたい」と言ってくれています。今後ともぜひその方向を維持できるように願っています。
それで、JIF取得には6、7年かかったのですよね。

そうですね。創刊が2018年9月なので、ちょうど6年です。

【福井】 今回JIFがついて、その点でも投稿する人にとって、新たなメリットが加わりました。いままで以上にうまく宣伝をすれば投稿数は絶対に増えていくと思うのです。
そういう状況も踏まえて、日本医師会には掲載料ゼロをできるだけ長い期間続けてほしいと伝えています。

そうですね。投稿料も掲載料も取らないゴールド・オープンアクセスというのは、ジャーナルとして貴重だと思います。

投稿数、急上昇中!

jarc_web
ところで、実際JIFを取ってからかなり投稿数が増えています。メールマガジンで「JIFを取得しました」というお知らせを流していますので、そういう効果もあってか、周知も進んでいるように思われます。

【福井】 どのくらい増えている感じですか。

6月の下旬にJIFが発表されて、7月には1カ月間の過去最高投稿数で、約60編です。1日に約2編のハイペースです。2023年は年間で206投稿でしたが、2024年の今年半分でもう200以上投稿を受け付けています。年間では倍増するかもしれません。

【福井】 ああ、ほんとうにすごい数になってきました。やはりJIFがつくと、皆さん、より投稿しようという気持ちになりますよね。ほんとうによかったです。

初めてでJIFが1.5という、日本のジャーナルとしては高いランクにあるのも、影響があるかもしれないですね。

【福井】 JAMA Network Openはいま10.5になっているので、JMA Journalも上がりますよ。ほんとうにそう思います。
いろいろな分野からの論文をアクセプトして、オープンアクセスで、掲載料が無料であれば、絶対にJIFは上昇していくと思います。

間口が広い! JMA Journalが投稿先に選ばれる魅力

JMA Journalの目的としても、かなり幅広い分野のOpinionを募り、非臨床研究も歓迎するというような方針を採っています。ここまで広く受け付けているというのは、日本のジャーナルだとあまりないと思います。これも選ばれる理由になってきているのではないでしょうか。

【福井】 いろいろな幅広い分野を網羅して掲載するということをすると、毎回のように新しい分野が次から次へと出てくるものです。現在受け付けている分野は64分野にもなります。すごい幅の広さです。

JMA Journalは初期のころから、編集長、副編集長などの先生方で分野を網羅していただきまして、かなり多くの分野を挙げていたのですが、そのあとも継続して追加になっている状況です。そうすると「あっ、自分の分野だな」ということで初めての先生にも投稿しやすいのではないか。これは、JMA Journalの魅力のひとつだと思います。

【福井】 そのとおりだと思います。
論文種類でみると、いちばん投稿が多いのはOriginal Research Articlesで、その次がImagesですね。投稿受付当初からImagesも割と多いけれど、オリジナルなものがいちばん多く投稿されているのでバランスが良く、いい傾向かなと思われます。Review Articleが3番目。ほんとうにいろいろな分野から投稿してもらえればうれしいです。

理想的ですね。

【福井】 あとは、宣伝・広報面などで杏林舍にはたくさん工夫をしていただいていますね。

はい、どのジャーナルでも初めの周知や広報にいちばん苦労するとは、これまでの経験から理解していました。JMA JournalではSNS、Xなどを利用してみたり、ジャーナル紹介のショートビデオを作成しサイトに載せたりしています。このジャーナルは、オープンアクセスで、掲載料も無料で、幅広い分野でオピニオンを受け付けていますよという、特長がすぐにわかるビデオというのは、他誌ではなかなかできないことだと思います。

【福井】 そうです。そのビデオはだいぶ視聴されていますね。

先生方が視聴しやすいようにジャーナルサイトのトップページにありますので、一目見ればどういうジャーナルなのかわかるような、うまい広報というか、周知の仕方だと思います。

【福井】 現在の論文採択率は全体で50%ですね。

はい、創刊当初から概ね50%くらいが保たれています。

【福井】 外国からの投稿は割合的にまだまだですね。

JIFを取ってからは若干増加傾向にありますね。

【福井】 アジア、中東のほうからの投稿は多いようですね。これからはもっと広くぜひ欧米からも増えてほしいところです。

もう少し海外にも周知していきたいなというのは、今後の目標というか、課題というか、そういうものではあります。

これからの方向性

次に、今後の広報や周知の方策については、編集委員会の先生方、日本医師会様、日本医学会様と弊社も一体となって取り組んでいきたいと思うのですが、その方向性などについても、伺わせてください。
編集事務局には、査読者がなかなかみつからないというメールを編集委員の先生からいただくことがあります。ジャーナルの分野が広いからこそ査読者がみつからないという声は、投稿を受け付けた当初からの課題です。しかし、そのような状況においても編集委員の先生方は非常にスピーディーに対応いただいており、すぐに推薦などもしていただくので非常にご尽力いただいているなという印象です。

【福井】 ほんとうにすごいなと思っていて。助かっています。

福井先生の中で今後の展望みたいなものはございますか。

【福井】 たとえば「JAMA」や「BMJ」に匹敵するような、「臨床医学雑誌といえばJMA Journal」というように思ってもらえるような存在になってほしいです、日本発のメインのジャーナルとして。そのためには、まずは外国からの投稿を増やしたい。
掲載料というか、お金がかからないというインセンティブを維持していくことと、今回のJIF取得で、投稿が増える可能性は大きくなっています。編集委員の先生方に頑張っていただいたりもしていて、本格的に効果が出るのはこれからかと。大変だとは思うのですが、ゆくゆくは2カ月に1回ぐらいの出版の必要があるくらい、投稿数が増えてほしいですね。

Opinionなどで、医学論文の書き方とか、非臨床的なことを投稿いただく機会が増えているかなと思います。そういった記事の扱い方についてはどのようにお考えですか。

【福井】 様々なOpinionがあるのは歓迎されることかと思いますが、ひとつの意見を掲載したとしても、ジャーナル自体のスタンスとして何か特定の主張をサポートするということはありません。

あくまで一意見として掲載はするけれども、JMA Journalの方針として「それが正しいです」と言っているわけではないということですね。

【福井】 JMA Journalにいろいろな意見が掲載され、議論が進むこと自体は、いいことだと思います。

最後に、医学AIに関する論文についてです。この分野に関連する依頼論文を寄稿いただいていますし、一般でも投稿される先生方がいらっしゃいます。これから論文が掲載されて、国内外からリアクションがあるとすごくいいかなと思っています。

【福井】 そういうジャンルでも、JMA Journalが日本の代表的な雑誌になると良いですね。

そうですね。日本を代表するジャーナルに…。

【福井】 なっていけたら、うれしいですね、ありがたいですね。

われわれも鋭意、頑張らせていただきます。これからもよろしくお願いいたします。

【福井】 できることは一生懸命やっていきますよ。

本日はありがとうございました。

 

ジャーナル・インパクトファクター(JIF)の取得・向上やPMC収載、その他ジャーナルコンサルティングのご相談はこちら (E-mail:info@seekl.jp Tel:03-3918-5005)

 

» 「ジャーナル・インパクトファクター取得コンサルティング」の詳細はこちらをご覧ください!
 seakl_banner

 

S1M NEWS
S1MNEWS2024年11月発行 第27号

主な記事
■ <特集レポート> Journal Impact Factor(JIF)の取得にあたって
 (JMA Journal 編集長インタビュー)
■ <特集レポート> 2019~2023年の国内論文投稿数の推移
■ <杏林舍サービス紹介> 杏林舍カレンダー販売

このページの先頭へ