「誰でも使いやすいホームページ」を目指そう!
(第6回:2017年2月)
2015年末の日本におけるインターネット普及率は83%を超え、10人に8人が利用するまでになりました(総務省調べ)。特に近年は、シニア世代(60代~)の利用率は75%を超え、伸び続けています。
インターネット利用率の向上(年代別):平成27年度情報通信白書
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc122000.html
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc122000.html
また障がいを持ったかたにもインターネットは利用されています。視覚や聴覚、肢体などにハンデを持ったかたの利用率は53%と全体の半数を超えました。視覚に障害のあるかたは「音声読み上げソフト」などで、ホームページの文章を「音」で利用しています。
障がいのある方々のインターネット等の利用に関する調査研究[結果概要]:平成24年6月(総務省)PDF
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2012/disabilities2012.pdf
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2012/disabilities2012.pdf
2016年には、障がいを理由とする差別の解消を推進する法律「障害者差別解消法」が施行され、インターネットも障がいの有無に関係なく利用できるようにすることが求められています。
障害を理由とする差別の解消の推進 - 内閣府
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html
様々な人がインターネットを利用するようになった今、年齢や障がいなどを問わずホームページにアクセスができ、情報を得ることができるように決められた指針が「ウェブアクセシビリティ」です。
ホームページ等を利用しているすべての人が、心身の条件や利用する環境に関係なくホームページ等で提供されている情報や機能に支障なくアクセスし、利用できること。
ウェブアクセシビリティには日本工業規格が定めたJIS規格があり、これを指針としたホームページを作ることが求められています。
JIS X 8341-3:2010(高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ)
http://www.jisc.go.jp/app/pager?RKKNP_vJISJISNO=X8341-3&%23jps.JPSH0090D:JPSO0020:/JPS/JPSO0090.jsp
http://www.jisc.go.jp/app/pager?RKKNP_vJISJISNO=X8341-3&%23jps.JPSH0090D:JPSO0020:/JPS/JPSO0090.jsp
年齢や環境を問わず、「誰でも使いやすいホームページ」にするにはどのような点に気をつければよいのか、この指針を参考に要点を簡単に解説します。
- ページのタイトルをつけましょう
- ページのタイトルは、ブラウザソフトのタイトルバーやブックマーク、また検索結果などにも使われます。タイトルが付いていないと、利用者は目的のページであるかどうか判断ができません。内容がひと目でわかるようなタイトルをつけましょう。
- 半角カタカナや機種依存文字、略語を使用しないようにしましょう
- インターネットはパソコンだけでなく、スマートフォンやゲーム機など様々な形でアクセスされています。利用環境によっては半角カタカナや機種依存文字は表示されなかったり、文字が化けて表示される可能性があります。また「/」「¥」といった略語も、読み上げ機能では正しく読み上げられないため、使用は避けましょう。
- テキストの見た目をスペースで整えないようにしましょう
- 「会 期」「会 場」など、見た目を整えるためにスペースを空けると、読み上げ機能では、スペースは一つの文字として認識されるため正しく読み上げられません。また検索エンジンの検索結果にも影響します。見た目のためだけに、正しい情報が届かなくなってしまわないようにしましょう。
- 「こちら」でリンクはやめましょう
- リンクしている箇所のみ読み上げる機能を利用しているユーザーも多いため、「こちら」ではリンク先に何があるのかわかりません。また検索エンジンでは「リンクの内容」が検索結果に影響します。リンク先がどのようなページなのか、「こちら」では検索エンジンは判断できないため、検索順位も上がりません。
リンクの文字にはリンク先の内容を明記するようにましょう。 - 色や形、文字の大きさだけで説明しないようにしましょう
- 「赤色の箇所は必須項目」「下記の青いボタンをクリック」など、見た目だけで説明すると、読み上げ機能を利用しているユーザーや、色の見え方に障がいを抱えたユーザーにも伝わりません。色や形、位置の説明だけに頼らず、情報がしっかり伝わる文章にしましょう。
- 色のコントラストに注意しましょう
- 視力の落ちてきた高齢者や、色の見え方に障がいを持ったユーザーは、背景色と文字色のコントラスト(明るさの差)によっては文字が読みにくくなってしまうことがあります。
たとえば「青色の背景に赤い文字」、「水色の背景に薄いグレーの文字」などはコントラストに差がないため、伝わりにくいです。
背景色と文字色にしっかり差がある色を設定しましょう。
- 画像には代替テキスト(説明文)をつけましょう
- 画像だけで情報を説明すると、画面が見えるユーザーには伝わりますが、読み上げ機能を利用している場合には何も伝わりません。
画像にはタグ(alt)を利用して「代替テキスト」といわれる説明文を設定することが出来ます。このタグに画像の説明を入れて、見た目だけで伝えないようにしましょう。 - 複雑な表は避けましょう
- 項目と内容がシンプルな構造の表であれば問題ありませんが、構造が複雑になっていたり、見た目だけのレイアウトのためにいくつも表を使っていたりすると、読み上げ機能で対応できない場合があります。
表にはしっかり「表のタイトル」や「見出し」を設定し、情報にも意味づけを欠かさないようにしましょう。
医学系の学協会のホームページは特に、患者さん自身やそのご家族など、病気の正しい情報を求めて訪れる機会も多いため、より細やかな配慮が求められます。
杏林舎では、JIS規格に合わせたホームページ制作・運用にも対応しています。ご相談ください。