Emerging Sources Citation Index(ESCI)について
3月下旬に弊社スタッフが米国・ペンシルバニア州フィラデルフィアにあるClarivate Analytics社(以後CA社)の本社を訪問し、同社が提供するWeb of Scienceへの収載基準および審査プロセスについてデータベース運営責任者や論文選考担当者からお話しを聞く機会がありました。(Clarivate Analytics Publisher Forum 参加レポートはこちら)
2015年よりCA社はWeb of Scienceに新たなデータベースEmerging Sources Citation Index(ESCI)を導入しました。ESCIは、Science Citation Index(SCI)の掲載基準には達していないが、ジャーナルとして国際的な基準に達しており、かつ今後、質の向上が見込まれるジャーナルを集めたデータベースです。このため、通常Core Collectionに収載さているジャーナルはImpact Factor(IF)が付与されますが、ESCIは付与されません。しかし、各論文の被引用回数は確認することが可能です。
CA社の担当者によると、ESCIの導入により、Web of Science収載のための審査プロセスに変更が生じたとのことです。
新しい審査プロセスは下記の通りです。
- 創刊号公開以降はいつでも申請が出来る
- 審査は申請後、3号の発行後から開始される
- 最初はESCI収載に向けた審査を受け、ESCI収載が決定後に改めてSCIに向けて審査されます。
なお、ESCIからSCIへの審査期間は設けずに継続的に行うとのことです。また申請されたジャーナルはSCIに直接収載されることはなく、先ずはESCIに収載されるとのことです。
ESCI収載への審査方法は
- 英文ジャーナル
- Peer Reviewシステムを導入している
- 掲載論文をオンラインで公開している
- ジャーナル出版倫理に反するような不正が無い(編集委員リストの詐称や著者からの投稿料搾取等のいわゆるPredatory Publishingではない)
が条件です。CA社のジャーナル選考担当者によりますと、原則的には上記4条件を満たしているジャーナルはESCIに採用されます。なお、ESCIに収載後は著しいパフォーマンスの低下や不正が無い限り、収載は継続され常にSCI収載に向けたパフォーマンス審査を受け続けるとのことです。その際は、どれだけ掲載論文が他の論文に引用されているのかが、重要な審査基準になります。
CA社は日本のジャーナルの収載数が未だ少ないと考えており、戦略的にも日本のジャーナルをより多く含みたいと考えているとの意向を聞く事ができました。
弊社が立上げからサポートしている創刊間もないジャーナルについて相談したところ、ジャーナルの発行論文数が増えるにつれ、審査における発行論文の被引用状況が重要視されるため、まだ新しいジャーナルは、早めに申請を行った方が良いとのアドバイスをいただきました。弊社では、4月以降、既に3ジャーナルのESCIへの代理申請を行っています。
もしESCIやSCI等のWeb of Scienceの収載にご興味のあるジャーナルがございましたら、弊社の営業担当までお知らせください。
※過去にWeb of Scienceに申請しているジャーナルは既にESCIに収載されている場合があります。ESCIへの収載の有無については、こちらのリストでご確認いただけます。
http://ip-science.thomsonreuters.com/mjl/
ジャーナル・インパクトファクター(JIF)の取得・向上やPMC収載、その他ジャーナルコンサルティングのご相談はこちら (E-mail:info@seekl.jp Tel:03-3918-5005)
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