S1Mユーザーカンファレンス 2014 レポート
今年も恒例のScholarOne Manuscripts(S1M)ユーザーカンファレンスが、9月4日、秋葉原コンベンションホールにて開催されました。(開催概要はこちら)
第3回となる今回のメインテーマは、「研究・出版倫理」です。
最近では研究に関する不正が一般の方々にもニュースとして届くようになり、研究・出版の信頼を失墜する様な事態に発展したり、今年のCSE(国際科学編集者会議)で取り上げられるなど、かなり注目度の高いテーマです。
特別講演として、医学教育の第一人者である、東京大学医学部教育国際研究センターの北村聖教授にお話しいただき、ユーザープレゼンテーションでは、学会の編集ご担当者様に出版倫理への学会の取り組みについて事例を交えてご発表いただきました。
また、製品情報として、トムソン・ロイターよりシニアディレクターのGeorge Kowal氏が来日し、S1Mの魅力についての講演がありました。
以下にプログラムの概要をご紹介します。
講演内容
世界の学会・出版社からS1Mが選ばれている理由
George Kowal氏(トムソン・ロイター シニアディレクター)
現在のグローバルマーケットでのS1Mの 利用状況は、237か国、5,000以上のジャーナル、1,500万以上のユーザーにご愛顧いただいており、年間の論文投稿数は220万を超えているようです。S1Mを利用することにより審査日数が短縮され、著者にとってもジャーナルがより魅力的に感じることとなります。著者の興味を引いて投稿数が増えれば、選ばれた質の高い論文の掲載が可能になり、その結果ジャーナルの質も向上するという、好循環でのサイクルが可能になるとのお話がありました。
また、日本の市場では今後も杏林舍を強力なビジネスパートナーとして考え、互いに協力し合いながら品質を向上し、より使いやすいシステムをユーザーに提供し続けていく姿勢を保っていくとのお話がありました。
編集委員会資料の作成事例
杏林舍/山田
S1Mの基本機能である「Cognos Reports」を使った編集委員会資料の作成について、ジャーナルの質を高めるためのPDCAサイクルを事例として、各場面ごとの資料についてご紹介しました。
新機能のご紹介:e-formについて
杏林舍/真鍋
S1Mのオプション機能である「e-form」について、機能の詳細と利点についてご紹介しました。
e-formは、「利益相反の申告」「投稿の同意」などを全著者から収集できる機能です。カンファレンスの開催後、じわじわとお問い合わせが増えています。
特別講演「不正論文をなくするために」
北村 聖 先生(東京大学医学部医学教育国際協力研究センター、日本医学雑誌編集者会議(JAMJE) 組織委員会)
不正論文に関する歴史やトピックを盛りだくさんな内容でご講演いただきました。参加者目線でのわかりやすいご発表で参加者の関心を惹きつけていらっしゃいました。
ユーザープレゼンテーション
ジャーナルの事例紹介:学会による出版倫理の取り組みについて
Journal of Epidemiologyにおける出版倫理に関する取組み:日本疫学会様
出版倫理の取り組みとして「Authorship」「剽窃・盗用、重複出版」「利益相反(Conflict of Interest)」「倫理的配慮」の事項を取り上げ、それぞれへのS1M機能の利用を含めた対応・対策をご発表いただきました。
オーサーシップに関する事例 - Journal of Chemical Engineering of Japanのケース:化学工学会様
「オーサーシップ」の観点から、複数の事例を挙げて、具体的な対応の内容をご発表いただきました。実務レベルの内容に多くの参加者が関心を寄せていました。
J-STAGE(CrossCheckの利用状況などについて)
独立行政法人 科学技術振興機構様
J-STAGEが提供している剽窃検知サービス「CorssCheck」の利用状況などについてご発表いただきました。有効に使われているのは、まだ一部のユーザーに過ぎない状況なので、より幅広くご利用いただくようご案内がありました。
アンケートへのご回答
杏林舍/鳥海
事前登録時のアンケートおよびサポートセンターへのFAQについてご紹介しました。
意見交換会・パネル展示
講演終了後には、普段なかなか接する機会がない他ジャーナルの編集ユーザーの方々との交流の場があり、みなさん和やかにお話しされていました。
また、会場では、出版倫理に関するパネルや、iGroup様の「CrossCheck」、ユサコ様の「コピペルナー」を展示いただきました。
ScholarOne Manuscripts ユーザーカンファレンス 2014も、盛況のうちに無事終了いたしました。今後もユーザーカンファレンスを継続して行うことで、国内外ともに更なる学術活動の発展に貢献していきたいと考えております!
ぜひ、次回開催もご期待ください。