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あんずジャーナル

2026年2月13日 お知らせ

【解説】J-STAGEの中長期戦略 ~ジャーナルの機械可読性とは~

ジャーナルのオンライン出版に欠かせないのが学術流通プラットフォームです。海外では各出版社が独自に展開していますが、国内では国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) が運営するJ-STAGEがその役目を担っています。

1999年に運用開始したJ-STAGEは、学術出版界の変化や学会からの要望に応えるために大規模なバージョンアップを繰り返してきました。
そして昨年末、利用学協会向けに「J-STAGEの運用および利用要件の改定案(全文XML必須化)に関するご意見募集について」というメールが配信されました。これもまたJ-STAGEが次のステージに移動するため準備です。

今回は2024年5月に公表されたJ-STAGE中長期戦略を振り返りつつ、そこから読み取れるJSTが描く未来予想図、そしてジャーナルが取るべき対応を見ていきましょう。

■J-STAGEの中長期戦略(2024年5月)

1999年の運用開始以来、J-STAGEは大規模なシステム改修を繰り返しながら世界標準に則って電子ジャーナルプラットフォームに必要な機能の追加や向上を図ってきました。ジャーナルを取りまく環境の急速な変化に対応すべく、JSTは外部有識者を交えてJ-STAGEの進むべき方針について検討を行い、2019年に中長期計画を発表しました。その後、当時の中長期計画がおおよそ達成されたこと、当時より更に変化をした環境に対応すべく今後5年程度を見越した新たな中長期計画を2024年5月に発表しました。

カギは「学術情報を機械可読な形態で提供する」こと

J-STAGEはジャーナルを始めとした国内の学術情報を流通させるためのプラットフォームであり、閲覧数を増加させ発信力を高めていくことはJ-STAGEの最も重要なミッションといえます。その達成にむけてJ-STAGEは学術情報を機械可読な形態、すなわちXMLでの搭載を推進する立場を取っています。
機械可読とはコンピュータプログラムが容易に認識・解釈できることを指します。論文本文や書誌情報をXMLとして提供することで、MEDLINEなど外部のサービスとの迅速な連携が可能となり、またブラウザ上で論文全文を読めるようになるため、簡単に機械翻訳できるようになります。
ElsevierやSpringer Natureなど海外大手出版社は既にほぼすべての論文がXMLで作られていますので、環境への対応という意味でも正しい方向と言えるでしょう。

この施策の具体的な運用としてJSTは『令和10年度内に、資料種別「ジャーナル」に対し、全文XMLファイルを登載必須とする』という方針を持っており、先のメールでは学協会を中心にご意見を募集制定していたようです。

■J-STAGEでの論文公開形式について

ここでJ-STAGEに論文を搭載する2つの方式を確認しておきましょう。

全文HTML公開(全文XML形式)

全文HTML公開(全文XML形式)は論文全体をXMLで構造化した公開形式です。本文、見出し、図表、参考文献、注記などが意味的にタグ付けされており、単なる「表示用データ」ではなく、機械可読性を重視した形式である点が大きな特徴です。
ElsevierやWileyといった海外の大手出版社も採用している世界標準といえます。J-STAGEにおいても標準的かつ将来志向の公開形式と位置付けられており、近年はこちらへの移行が進んでいます。

書誌公開(書誌XML形式)

書誌公開(書誌XML形式)は論文全体ではなく書誌情報と抄録をXMLで構造化し、本文はPDF等で公開を行う形式です。全文HTML公開に比べると機械可読性は劣りますが、費用を抑えやすいのが長所です。

簡単な見分け方としてJ-STAGEを開き、全文をHTMLで読める場合は全文HTML公開(全文XML形式)、そうでない場合は書誌公開(書誌XML形式)で作られています。

■日本の状況は?

J-STAGEの検索機能を使って、全文HTML公開(全文XML形式)で全文を公開で公開された論文の数を調べてみました。

2000年には7.4万論文中たったの9論文とたった0.01%だったものが、2025年には7,021論文と25年間で約780倍も増えています。しかしそれでも総数の約11.4%であり、順調に移行しているとはいいがたい状況でしょう。
令和10年度の全文HTML公開必須化までにどのくらい進行するのか要注目です。

■ジャーナルが取るべき今後の対策は?

論文の全文HTML公開は世界標準です。これに追いつくべくJSTは令和10年度内に全文XMLファイルを登載必須とすることを目標として普及活動を続けています。しかし2025年に全文HTML公開された論文は約11.4%、目標達成までの道のりはまだまだ遠く、なかなか実態が伴わない状況にあります。

JSTが目標達成に向けてより強力な施策を取る可能性もあり、ジャーナルとしてはいずれ全文XML形式行せざるを得なくなると予想されます。

令和10年まであと2年。スムーズに移行できるよう、早めに準備を進めておきましょう。
Seekl及び杏林舎ではもちろん全文XML形式での雑誌制作も承っています。
ご興味のある方は是非お気軽にお問い合わせください。

ジャーナルコンサルティング Seekl
https://seekl.jp/

[参考文献]
J-STAGE中長期戦略

2025年12月18日 お知らせ

学術ジャーナルにおけるレポーティングの重要性と実践法 <ISMTE参加報告>

8月上旬にカナダのモントリオールで ISMTE(国際マネージング&テクニカル編集者学会)の総会が開催され、今年もSeeklのメンバーが参加してきました。
興味深いセッションが目白押しでしたが、今回はジャーナル運営において身近な存在である、レポートに関するセッション「学術ジャーナルにおけるレポーティングの重要性と実践法」について共有します。

レポーティングの重要性

学術出版の現場では、日々の編集業務や査読対応に追われる中で、「レポーティング(報告業務)」は後回しにされがちです。しかし、実はこのレポーティングこそが、ジャーナルの健全な成長に欠かせない活動です。

レポーティングとは、特定のデータや情報を整理し、分析結果を文書やグラフとしてまとめるプロセスのことです。レポートを通じて過去の傾向を把握することで、将来の動向を予測するための「知識の蓄積」が可能になります。これにより、編集委員会や編集長は事実に基づいた意思決定を行うことが可能となります。また、定期的なレポーティングによりジャーナル運営における課題を早期に発見し、改善策を講じることが可能になります。

レポーティングでジャーナルが着目すべき主要な指標

今回のセッションでは追跡すべき主要な指標として以下のものが紹介されていました。

  • 査読・編集のスピード:投稿から一次判定、最終判定までの日数
  • 投稿動向:年間の投稿数、5年間の推移、論文タイプの内訳
  • 関係者のパフォーマンス:編集者の応答率、査読者の承諾率やレビュー提出の迅速さ
  • 著者情報:所属機関、地域分布、研究資金の有無
  • 研究倫理関連:IRB承認、インフォームドコンセント、資金源、図表の再利用許可状況

これに加えて被引用状況として、掲載論文の被引用状況、地域分布などがあるとジャーナルのトレンド把握に役立つとのことです。

効果的なレポーティングのために

効果的なレポーティングのためには、レポートの目的や活用方法を明確にしておくことが必要です。
下記のフレームワークを使うことで、レポートを必要とする編集委員会や編集委員長などの意思決定者と、レポート作成担当者との認識を揃え、効率的にレポートを設計することが可能になります。

[レポーティングのフレームワーク]

  • 主変数:変化を追う数値の決定(例:投稿数、査読日数)
  • フィルター条件:対象データの選別(例:新規投稿のみ、最終判定の出た論文のみ)
  • 期間設定(例:2024年1月〜2024年12月)
  • 補足情報(例:著者地域、編集者名)
  • レポートの用途(単発利用か、定期報告か)

なおレポートに現れる数値はあくまで出発点であり、重要なのはその数字が示す「意味」を読み解き、ストーリーとして伝えることです。
そのためには以下の手法が有効である、との提言もありました。

  • 複数の指標を組み合わせて「天気予報」のように全体像を描く。
  • 異常値やトレンドの変化を「なぜ起きたのか」と問いかける。
  • 編集委員や出版社と議論し、背景要因を補完する。

レポーティングはジャーナルの未来を形づくる戦略的な営み

レポートは単なる「数字の羅列」ではなく、ジャーナルの未来を形づくる戦略的な営みであるべきです。

  • データを正しく定義し、継続的に追跡すること
  • フレームワークを用いて効率的に設計すること
  • 物語として解釈し、関係者と共有すること

これらを実践することにより適切かつ強固な意思決定を行い、ジャーナルの価値を高めていくことができます。

Seeklではジャーナルのあらゆる課題やニーズに応えるべく、投稿査読状況に関するレポートはもちろん、被引用状況やジャーナル・インパクトファクターに関する調査やレポート作成も提供します。ご興味のある方は是非お気軽にお問い合わせください。

ジャーナルコンサルティング Seekl
https://seekl.jp/

 

なお、 ISMTEの参加記事についてはS1M News第31号、Seeklコラムにも掲載していますので、ぜひご覧ください。

2024年11月15日 お知らせ

2025年版 杏林舍オリジナル・卓上カレンダー販売開始!

早いもので今年も残り1ヶ月半となりました。
新しい年を迎えるご準備を進められている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このたびオンライン・ストア「KaLib Store」では2025年版 杏林舍オリジナル 卓上カレンダーの販売を開始しました!
元々ギフトとして作成していたものですが、使いやすいと毎年、大好評いただいており、新たに販売用に数量限定にて作成いたしました。

主な特徴

  • シンプルで使いやすい杏林舍オリジナル表紙デザイン!(3種よりお選びいただけます)
  • 余白が広くスケジュールの書き込みがしやすい!
  • カレンダーでありながら、メモページが64ページも付いて手帳としても使用できます!
  • 机に置くのも、持ち運びするにもちょうどよいB6サイズ!

 

ご購入はこちら

https://store.kalib.jp/html/page6.html

2025年が皆さまにとって健やかで幸せ溢れる年となりますように

 

2024年6月27日 お知らせ

<速報>日本初の医学系総合誌がジャーナル・インパクトファクター1.5を獲得!

2024年6月20日に2024年のJournal Impact Factor(ジャーナル・インパクトファクター = JIF)がClarivate社より発表されました。

今年は新たに544ジャーナルが収載され、JIFが付与されたとのことです。
ちなみに杏林舎のジャーナル・コンサルティングサービスSeeklが創刊からサポートしている日本医師会が発行するJMA Journalも今回JIFが付与され、初めてついたJIFはなんと1.5!「MEDICINE, GENERAL & INTERNAL」というカテゴリでは329誌中135位とかなりの好発進となりました!

興味のある方はぜひ JMA Journalの創刊からESCI申請までの軌跡 をご覧ください!
また、Seeklサイトにて2024年度JIF発表について深堀していますので、Seeklコラム もご覧ください。

2024年6月27日 お知らせ

2024 CSE Annual Conference参加レポート③(読みやすい投稿規定とは)

今回のCSE(科学編集者会議)Annual Report(5月4日~7日 アメリカ)の参加レポート第3弾がジャーナル・コンサルティングSeeklのコラムに公開されました。第3弾は「投稿規定の読みやすさ」に関するセッションの内容について書かれています。

ある米国の大規模ジャーナルが著者へ投稿規定に関するアンケートを行い、その結果と合わせた講演です。

アンケートでは著者の求める投稿規定や、著者目線での投稿規定を策定する事のメリットなどが含まれており、ジャーナル運営やコンサルティングにおいて非常に参考になる内容が含まれていました。

またアンケート結果を実際に反映したケースも紹介されており、。著者目線で分かり読みやすい投稿規定は著者だけではなく、編集事務局側にも大きなメリットを生み出す事が分かります。

アンケートの内容や投稿規定に求められる要素等についてご興味のある方は是非、Seeklコラムをご覧ください。

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