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あんずジャーナル

2024年1月25日 お知らせ

投稿数は簡単に増やせる?

一昨年5月公開のS1M Newsでコロナ禍とその後の国内論文投稿数についてレポートしました。(まだ読んでいない方はこちら

記事では英文誌和文誌ともにコロナ禍で大幅に投稿数が増えたものの、その後の感染症の収束に合わせるように減少し、2022年時点ではコロナ禍以前と同程度かそれ以下まで落ちていることをお伝えしました。
私たちも「コロナ禍前よりも投稿数が減ってしまっている」「投稿数の減少が止まらない」など、投稿数に関するお悩みをこの1年で特に多くご相談いただきました。

ジャーナル運営関係者の皆様が日頃から頭を悩まされていることからも分かる通り、投稿数が伸び悩む原因はジャーナルそれぞれで多岐にわたっており、「これをこうすれば投稿が増えます!」と明快にご案内できるものではありません。

「投稿者にとって投稿しやすい環境が整備されているのか?」
「投稿者が投稿したいと思わせる情報が見やすく表示されているか?」
「執筆・投稿にかける労力に見合った見返りがあるのか?」

など、投稿者から見た雑誌の姿を客観的に分析して、多角的に複数の対策を実施していかなければなりません。
投稿募集戦略というと、広報が真っ先に思い浮かぶかもしれません。SNS運用やジャーナルサイトの活用、その他外部ツールの利用など多くの手段がありますが、どれか一つをとって直接的に投稿数に大きな影響を与えるものではないため、細かくKPI(Key Performance Index)を設定した綿密なプラン設計が必要です。

そんななかで、直接的に投稿数にポジティブな影響を与え易いのが、PMCやMedlineなどのデータベースへの収載やジャーナルインパクトファクター(JIF)の取得です。JIFを持つジャーナルに論文が掲載されることは著者の実績にもつながります。JIF値の分析とコントロールを行うことで投稿数増大効果をより大きくすることができます。

PMC収載はJIF取得に比べて即効性が高く、投稿数増加効果が収載後1年内に現れることが多いように感じます。私たちがコンサルティング・サポートしているジャーナルの中には、PMC収載後翌年には、投稿数が倍に増えたジャーナルもあります。
もちろん日頃から投稿数増加のための工夫や施策を多くうってきた努力の賜物なのですが、PMC収載がきっかけになっていることは間違いありません。
もしも論文投稿数の頭打ちや現象にお悩みであるのであれば、JIF取得やPMCなどの国際的なデータベースへの収載を検討されても良いかもしれません。

データベースへのジャーナル収載に向けた準備申請には相応の労力がかかります。
データベース収載申請・JIF取得の第一歩として、ジャーナル診断で問題点を洗い出してみることをおすすめします。
ジャーナル診断はPMCやESCI(JIFが付与されるデータベース)を初めとする国際的なデータベースの審査基準にジャーナルがどの程度合致しているのか、これからどんなことをしなければならないのかなど、スタート地点の確認に最適です。

2024年1月1日 お知らせ

Web of Scienceの収載誌見直しについて

昨年3月、Clarivate Analyticsは50誌以上をWeb of Science(WoS)から除外し、ジャーナル・インパクトファクター(JIF)をはく奪しました。WoS収載誌の見直しは定期的に行われていますが、この規模の削除は過去に例を見ないほど大きなものでした。

この見直しでは独自開発のAIツールによって500誌以上が収載基準を満たさないとしてリストアップされ、その中から削除対象が選ばれたようです。
削除対象の中にはScopusやPMCといった名だたるデータベースに収載されているジャーナルもありましたし、International Journal of Environmental Research and Public Healthという雑誌に至っては前年のJIFが4.614と分野でも平均以上に引用数の多いものでした。

今回大規模な見直しが行われた背景は2つあると考えています。一つは急成長を遂げているオープンアクセス誌(OA誌)の活動がJIFを実態以上に引き上げるよう働いているとみなされたことです。例えばMDPIというOA誌専門出版社は2010年に創業して以来、急成長を遂げていますが、ゲストエディターを大勢招くことによる頻繁な特集号発行が強力な推進力だと言われています。(中には1日に4つの特集号を発行したジャーナルもあるとか・・・)
今回のWoSからの除外にあたってMDPIとしても大量の特集号を出版するスタイルが問題視されたと認識しているようです。

もう一つはAIツールの登場によるチェック効率の飛躍的向上が考えられます。これまでも見直しによりWoSから除外されるジャーナルがある一方で、最新の国際的基準へのアップデートが遅れているジャーナルも収載され続けています。推測ではありますが、Clarivate Analytics側で問題は認識しつつも除外するほどではないと見なされていたジャーナルもあれば、リソースの関係で不備が見逃されていたジャーナルもあると考えられます。AIツールの登場によりチェックが効率化したことで、今後はこれまでは見逃されていた不備が見つかり、削除対象としてリストアップされる可能性が高まると推測されます。

WoSに収載されるには厳格な審査をクリアしなければならず、品質基準を満たしているジャーナルは全体の15%以下といわれています。しかしClarivate Analyticsが以前からアナウンスしているとおり、WoSへの収載およびJIFの取得は恒久的なものではなく、WoSへの収載にふさわしくないと判断された場合には削除されてしまいます。

昨年よりClarivate Analyticsの体制にも変化が見られますし、これを機にジャーナルのバージョンアップを始めてみてはいかがでしょうか。特に長年WoSに収載されているジャーナルは日々の業務に追われて各所のバージョンアップが遅れてしまっているケースが散見されますのでおすすめです
杏林舎では最新の国際基準に合わせたジャーナル全体のブラッシュアップを承っています。ちょっとしたご相談でも構いませんので、是非お気軽にお問い合わせください。

ジャーナルコンサルティングの「Seekl」
電話番号:03-3918-5005(直通)
E-mail : info@kyorin.co.jp

 

参考

Supporting integrity of the scholarly record: Our commitment to curation and selectivity in the Web of Science
More than 50 journals already de-listed this year for failing to meet our quality selection criteria (https://clarivate.com/blog/supporting-integrity-of-the-scholarly-record-our-commitment-to-curation-and-selectivity-in-the-web-of-science/)

Fast-growing open-access journals stripped of coveted impact factors
(https://doi.org/10.1126/science.adi0098)

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