「Webの豆知識」はじめます!
日頃、Webサポートサービスで更新や運営のお手伝いをさせていただく中で、よく聞かれるご質問や、お問い合わせがあります。同じようなお悩みや疑問にぶつかっているお客様がたくさんいらっしゃることに気がつきました。
そんな様々なお悩みの解決のために、「Webの豆知識」をはじめます!
簡単な言葉でわかりやすくご説明しますので、少しでも、皆さまのお力になれれば幸いです!
テーマは、「更新箇所が直っていない?」「PDFのAcrobatとReaderの違いって?」「ファイアーウォールって何?」・・・などを考えています!
もちろん、こんな時はどうしたらいいの?というお悩みも、今までと変わらず、Webサポートサービス、または弊社営業へお気軽にお問い合わせください。
どうぞ、お楽しみに!
あんずと学ぶ校正講座(1)
先日、杏林舍では『PDF校正システム』をリリースいたしました。
これは郵送を使わずに、インターネット上で校正のやり取りや提出期限の管理などができる、とっても便利なシステムです。
ということで、今回からシリーズで印刷物を作るのに絶対必要で、とても大切だけどあまり身近でなかった校正の基本について、『あんずと学ぶ校正講座』という形で公開していきます!
校正とは、印刷物の字句や内容、体裁、色彩の誤りや不具合を、あらかじめ修正することです。出版にあたっては、印刷に先立って仮刷りを行い、それと原稿の内容を突き合わせ、誤植や体裁上の不備を正します。文字や数字ばかりでなく、デザインや発色の確認も行い、発色の確認を行う校正は特に色校正(色校)と言います。
さて、校正には校正記号が使われます。校正記号はゲラ(仮刷り、試し刷り)の限られたスペースで利用できる修正指示記号のことです。
これを上手に使うと、修正指示が簡潔に正確に伝わります。
- 指示が上手く伝えられない
- 説明が長くなり簡潔にまとまらない
- 1つの原稿の中に同じ指示が重複する
といった場合は、ぜひ赤字に校正記号を用いてみていただければと思います。
杏林舍では著者の方々に校正を行っていただく際、的確なご指示をいただけるよう『校正記号表』をお配りして、校正記号の使い方についてお知らせさせていただいております。
みなさん、一緒に校正記号を学んでいきましょう!
印刷用語の基礎知識?(ゲラの語源の話)
印刷物を制作する際、途中の工程で内容をチェックするために使う紙面見本を
『 ゲラ 』と言います。
シーン1:印刷現場で機械の音で会話がしづらい中で。 ベテラン 「おい、そこの galley 持ってこい!」 新 人 「すみません、聞こえません!」 ベテラン 「 ギャリー 持ってこい!」 新 人 「これですか?」 ベテラン 「そうだ、その ゲャラィ 持ってこい!」 新 人 「 ゲラ お持ちしました!」 ベテラン 「おー、ありがとう!」 新 人 「これ、 ゲラ っていうんだ。。」(←心の声) |
こうして galley が ゲラ になったかどうかは想像の話ですが…
国語辞典を調べてみると、
〔←galley〕(1)活字の組版を入れる木箱。組盆。 (2)〔←ゲラ刷り〕校正刷り。 |
[新明解国語辞典より] |
と書かれています。
昔は、この『 ゲラ(木箱) 』の上に鉛の活字を組んで(並べて)いっていたのです。
逆に『 ゲラ刷り・校正刷り 』は、galley, galley proof, proof, proof copy,proofsheet, draft copy、『 校正する 』は、proof, galley read, proofreadと言います。
もともと、 galley は昔の大型の手こぎ船(ガレー船)なんだそうです。
今の印刷技術より古い時代、鉛の活字を箱に入れて文字を組み、印刷をしていました。その箱が galley に似ていたからだったとか。
それがなまって、仮組の版面にインクをつけて試し刷りした見本を『 ゲラ刷り 』と言うようになり、これが縮んで『 ゲラ 』となったようです。
そうですか、最初はあだ名だったんですね!
そして、あだ名はいつしか正式名称になって、辞書にも載るのですね!!
そんな話は杏林舍内にもありまして…
Mac OS X Serverを導入したときに、そのいでたちがあまりにもバーベキュー用の鉄板に似ていたので、『 BBQ 』と呼ばれています。
そして、それ以降に導入したサーバーは・・・鉄板はもう用意されたので、素材を美味しく料理できるようにと、全てハーブの名前が付けられています。
そう、よりおいしく商品ができあがることを祈って~。
ステレオタイプではありません。(語源の話)
ステレオタイプという言葉、知ってますか?
「固定概念」を指すときに使う言葉で、
ステレオタイプな人たち → 融通の利かない人たち
というような使い方をしたりしますよね。
活字時代の鉛版、これをステレオタイプと言ったらしく、要するに、
同じものしかつくれない → 型にはまった
が語源のようなのです。
そもそも『stereo』には「頑固」的な意味があるようです。
ステレオタイプを国語辞典を調べてみると…
|
と書かれています。
『ステレオ』には拡がりがあるというイメージを持っていたので、ステレオタイプという言葉がどうもしっくりこないと思っていたのです。
これで、すっきりしました!
Lがおすすめ!?(リットルの話)
先日、お客さまより
「体積を表す単位記号『リットル』の表記を『筆記体エル:ℓ 』にしてください。」
という修正のご依頼がありました。
それまで、このお客さまのお仕事においては、リットルの記号は全て 小文字エル:l で表記していましたが、これを 筆記体エル:ℓ に変更したい、ということです。
小文字エル:l は アラビア数字1 と混同しやすいので、できれば使いたくないという意図なのであろうと想像しました、納得です。しかし…
「日本でよく見る筆記体や斜体のリットルは、国際的には非公式な表記法である」そうなのです。
- 国際的な公式単位記号は小文字エル:l
- 筆記体エル:ℓ は、日本をはじめとする限られた非英語圏の表記法
- 斜体は変数の目印で、斜体エル:l , L は通常『変数エル』を意味する
- アラビア数字1 との混同を避けるために、大文字エル:L の使用は認められている
※この場合の公式と言うのはいくつかの国際標準機関の規定をさします。
ということは、小文字エル:l を使用するのがベストな選択であること。また、見た目上の都合などにより、時には 大文字エル:L がおすすめできるのでは?と考えることができます。
もちろん、お客さまのご要望に従うのがベストな場合もあるかと思いますが、
「小文字エル:l では アラビア数字1 と混同してしまうので 大文字エル:L を!」とおすすめしたいと思います。
『リットルの単位記号』というたった一文字の中にも、こんなトリビアがあったりする、というお話でした。
ちなみに、小文字でも大文字でも、立体でも筆記体でも斜体でも、制作にあたっての手間にはそれほど差がありません。
どちらかというと、差異は「統一する」「統一しない」によって生じてくる問題で「大文字エル:L にしかしません!」というお話ではありませんので、あしからず。