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あんずジャーナル

2023年11月30日 お知らせ

世界大学ランキング2024 ~日本勢の大躍進~

イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」が2023年9月27日、THE世界大学ランキング2024 (THE World University Rankings 2024)を発表しました。

THE世界大学ランキングは2004年から毎年発表されている世界的な大学ランキングになり、様々な大学ランキングの中で最も権威がある指標だと言われています。ランキングは「教育」「研究環境」「研究の質」「産業への貢献」「国際性」の5分野における18の指標により各大学が評価されています。

2024年版では、108の国・地域の1,904校を対象に順位付けされました。トップは8年連続でオックスフォード大学。ランキングのトップテンは順位の変動はあるものの、昨年と同じ大学がランクインしています。

世界大学ランキング

  1. オックスフォード大学(イギリス)
  2. スタンフォード大学(アメリカ)
  3. マサチューセッツ大学(アメリカ)
  4. ハーバード大学(アメリカ)
  5. ケンブリッジ大学(イギリス)
  6. プリンストン大学(アメリカ)
  7. カリフォルニア工科大学(アメリカ)
  8. インペリアル・カレッジロンドン(イギリス)
  9. カリフォルニア大学バークレー校(アメリカ)
  10. イェール大学(アメリカ)

今回のランキングではアジアの大学が過去最多の737校もランクインしており、特に日本と中国の大学は大きく順位を上げています。中国は清華大学(16位→12位)と北京大学(17位→14位)が順位を上げ、200位までに前年(11校)を上回る13校がランクインしました。

日本からは119校がランクインし、国内トップは「東京大学」の29位で昨年(39位)から順位を上げ2015年以降で最高順位となっています。

日本の大学ランキング

  1. 東京大学 39位(昨年)→29位
  2. 京都大学 68位(昨年)→55位タイ
  3. 東北大学 201-250位(昨年)→130位タイ
  4. 大阪大学 251-300位(昨年)→175位タイ
  5. 東京工業大学 301-350位(昨年)→191位タイ
  6. 名古屋大学 301-350位(昨年)→201-250位
  7. 九州大学 501-600位(昨年)→301-350位
  8. 北海道大学 501-600位(昨年)→351-400位
  9. 筑波大学 501-600位(昨年)→351-400位
  10. 東京医科歯科大学 501-600位(昨年)→401-500位

今回のランキングでは評価指標に大きな改訂がありました。
従来の分野である「教育」「研究」「被引用論文」「国際性」「産業界からの収入」から「教育」「研究環境」「研究の質」「産業への貢献」「国際性」に変更になり、指標の数も13個から18個に増えました。今回行われた大幅な評価変更がアジアの大学の順位アップにつながったと考えられます。他の地域と比較すると「教育」の項目と「研究の質」の項目評価が大きく上昇しています。

日本の大学は「教育」分野の「学生に対する教員比率」で高い評価を獲得し、新指標である「産業への貢献」分野の「特許に引用された論文数」においても高く評価されました。

日本の大学については、評価指標の変更による追い風が来ているため、来年こそはトップテン入りを目指して頑張ってもらいたいです。

世界大学ランキング2024
https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2024/world-ranking

2023年11月16日 お知らせ

査読の質を上げるには ~Peer Review Weekより~

今年は9月25日~29日Peer Review Weekとして学術出版業界の各種団体や企業がオンライン・イベントを主催しました。杏林舍はこれまでもこのイベントに参加しており、今年も例年同様にオンラインで参加しました。数あるセッションの中から、基礎となるPeer Reviewに関するセッションについて紹介します。

ジャーナルの編集委員の査読における重要な役割として「査読者の選出」がありますが、該当の論文にもっともふさわしい査読者とは

  1. 研究領域に知識が豊富であり、専門性が高い
  2. 公平で建設的な姿勢を持って査読が出来る
  3. 査読者としての利益相反(COI)がない
  4. 細かい内容だけではなく、全体像をつかむことが出来る
  5. 査読しているジャーナルの査読基準を理解している

この中で2)についてジャーナルは単に査読をしてもらうだけではなく、若い研究者が論文の執筆・投稿と同じくらいにキャリアを積む上で不可欠な査読としての経験が不可欠です。その中でジャーナルは研究者により多くの査読を経験してもらう事で、この様な意識を育成する機会を提供すべきで、それが結果として更なるジャーナルの質の向上につながるのではないでしょうか。

また、査読の質の統一性を維持するには、国際基準に沿った査読ガイドラインはもちろん、ジャーナルとしての査読方針や基準を設け、査読者に理解してもらえる様な形で共有される事が必要です。しかし、現実としては査読者と編集委員のコミュニケーションは査読依頼、そして査読結果の提出の時だけ、ということが殆どのケースではないでしょうか?
これらがしっかりと説明されておらず、一方的に論文だけを送るだけでは査読の質は向上しない、とのコメントがありました。

編集委員が査読における役割、そして心掛けるべきとして下記の点があげられました。
 A)査読者の多様化を目指すべき
 B)著者による特定の査読者の除外を尊重する
 C)より多くの研究者による査読への参加を促す
 D)査読者としての不適切な言動に注意する

査読の質を上げるためには、より多角的な視点や論点から査読を行うことで最善の査読を可能にし、それは査読者の多様化によって可能になる、というのが発表者の意見です。

また著者から特定の査読者の除外のリクエストがあった場合、それは尊重されるべきです。査読人数を限定せず、より多くの研究者が査読に参加することによって査読の質が上がるとして、学術出版業界として一定の基準を設けるべきであるとの提言がありました。

また、査読の過程における査読の不適切な言動がなかったか、もしあった場合には的確に対応する必要があります。

査読者の査読における役割は「研究への評価」であり、論文の体裁ではありません。時として査読者は文法のチェックや校正に多くの時間を費やしてしまいがちです、査読の本来の目的は研究そのもの評価であり、研究が基準に沿っているか、またジャーナルで出版するために発表内容の質を上げる事が出来るのか、についてフォーカスする必要があります。


査読者が査読においてフォーカスすべき点は

  • 目的
  • 結論
  • 表現
  • 文献
  • 研究結果
  • 手法

の6つに分かれますが、一般的に査読者は手法にフォーカスする傾向にあるようです。このような偏りを無くすためにも査読ガイドラインは重要であり、ジャーナルとして査読すべき点を査読者に対して査読依頼前にしっかりと理解してもらった上で、アサインすべきとの発表がありました。


査読者の確保は業界全体の課題であり、査読者探し、査読依頼の拒否、遅延、同じ査読者への集中等、どのジャーナルでも苦労している様です。しかし相対的により多くの査読者も認知を求めており(88%)、キャリア構築に役立つ様なインセンティブを希望しており(84%)、査読者教育の機会を希望しているとのことです。実際に査読に関わる研究の39%は査読に関する教育を受けた事がない、と報告がありました。

査読の質の向上には、より多くの査読者の確保、査読基準の確立とそれに向けたガイドラインの策定、そして査読者の教育の機会の提供と功労への認知等、幅広い対策が必要です。しかし、これらはハードルが高いという事も事実です。

そこで、ジャーナルとして最初に行うべき事は、ジャーナルとしての方針をしっかりと定め、少しでも査読者が迷わずに、同一の基準に沿って査読を行うためのガイドラインを設定することです。これにより、査読者が判断する上での負担の軽減につながると同時に査読の質を向上し、維持することが可能です。皆さんのジャーナルにおかれても、まずは査読ガイドラインをしっかりと定めてみてはいかがでしょうか?

2023年11月2日 お知らせ

エンジニアリング系データベース「Engineering Village」とは?

Engineering Village (エンジニアリングビレッジ)はElsevierが提供するエンジニアリング情報ツールの統合データベースです。世界トップクラスの理工学系大学の75%以上に利用されており、世界有数の専門データベースでもあります。
2023年現在は12個のデータベースから構成され、その一つであるCompendexはエンジニアリング系に特化したフラグシップとして包括的かつ信頼性の高いコンテンツを収載しています。

こうした著名なデータベースに収載されることはジャーナルの露出機会の増加につながりますし、ジャーナルの質を証明することにも繋がりますので、とても有力なプロモーション方法の一つです。
データベース収載となるとジャーナル・インパクトファクターが付与されるESCI(Web of Science)に目が行きがちですが、今回ご紹介したEngineering Villageや生命医学系であればPMCやMEDLINEといった専門に特化したデータベースに収載されることで、よりジャーナルのスコープにあった研究者の目に留まりやすくなります。

杏林舎では様々な学術情報データベースへの収載を目標としたコンサルティングを提供しています。収載を目指しているけれど何をすればよいのかわからない、そんなお悩みをお持ちの方はぜひお問い合わせください。

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