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あんずジャーナル

2024年2月2日 お知らせ

ジャーナルインパクトファクターのコントロール

以前の記事(参考記事:投稿数は簡単に増やせる?)では、投稿数を直接的に増やせる数少ない方法の一つとして、ジャーナルインパクトファクター(JIF)の取得をご紹介しました。

最近ではJIFのジャーナルへの付与基準が緩和されたこともあり(参考記事:インパクトファクターが当たり前の時代に?)JIF取得コンサルティングの問い合わせも急増しています。

この変更は引用の少ない分野や新興雑誌にとってはJIFを獲得する大きなチャンスである一方で、既にJIFをもっているジャーナルにとってはネガティブな影響をもたらす可能性があります。
これまでJIFはフラッグシップコレクションであるSCIEの収載誌にのみ付与されていましたが、現在は新興ジャーナル向けのESCI収載誌にも付与され、どちらのデータベース収載誌も同一の指標で評価されるようになりました。結果、SCIE収載誌よりもJIFの高いESCI収載誌に研究者の注目が集まるという逆転現象も一部で起きています。
競争が激化することでもともとSCIEに収載されていたジャーナルであってもJIF値の低迷、場合によってはコレクションから除外(JIFをはく奪)されてしまう可能性も以前より高くなっています。

そのため今後は先回りしてパーセンタイル(領域内順位の%)やクォータタイル(領域内順位の四分位)を上げていく施策を検討、実施することでJIFをコントロールすることの重要性が高まっていくと考えられます。なおJIFは相対的に評価するものですので、数値としてJIFが上がっていくことよりも領域内での順位や四分位が上がることの方が重要です。

JIFを取得するまでの重要なポイントは

  1. 最新の国際基準に準拠し、変更にキャッチアップする運営体制
  2. ジャーナルポリシー誌面に反映させる編集体制
    ですがJIFを維持・向上させていくにはそれにプラスして
  3. どんな論文がどんな属性の著者に引用されているのか、自誌の引用傾向を決定づける要因が何なのかを特定し、そこにマッチする施策をピンポイントに実施する
  4. 領域内の他ジャーナルの引用傾向と要因を知ることから、他誌の戦略を知り自誌の運営へ応用する

ことが必要になってきます。このような分析を行うことで初めて広報などの施策が有効なものとして設計できるようになります。

またこういった分析を用いた長期的な戦略と併せて掲載論種のコントロールなど、短期的な施策も適宜行うことも必要です。

しっかりと分析と対策をたててジャーナルの質と価値を高めていきましょう。

私たちはJIF取得コンサルティングを始め、引用分析や他誌をベンチマーキングとした分析、広報立案などJIF取得、維持・向上を強力にバックアップします。
「JIFが低迷して困っている」「JIFとりたいけど何をしていいかわからない」といったお悩みでも構いませんので、興味のある方はぜひinfo@seekl.jpまでご一報ください。

2024年1月25日 お知らせ

投稿数は簡単に増やせる?

一昨年5月公開のS1M Newsでコロナ禍とその後の国内論文投稿数についてレポートしました。(まだ読んでいない方はこちら

記事では英文誌和文誌ともにコロナ禍で大幅に投稿数が増えたものの、その後の感染症の収束に合わせるように減少し、2022年時点ではコロナ禍以前と同程度かそれ以下まで落ちていることをお伝えしました。
私たちも「コロナ禍前よりも投稿数が減ってしまっている」「投稿数の減少が止まらない」など、投稿数に関するお悩みをこの1年で特に多くご相談いただきました。

ジャーナル運営関係者の皆様が日頃から頭を悩まされていることからも分かる通り、投稿数が伸び悩む原因はジャーナルそれぞれで多岐にわたっており、「これをこうすれば投稿が増えます!」と明快にご案内できるものではありません。

「投稿者にとって投稿しやすい環境が整備されているのか?」
「投稿者が投稿したいと思わせる情報が見やすく表示されているか?」
「執筆・投稿にかける労力に見合った見返りがあるのか?」

など、投稿者から見た雑誌の姿を客観的に分析して、多角的に複数の対策を実施していかなければなりません。
投稿募集戦略というと、広報が真っ先に思い浮かぶかもしれません。SNS運用やジャーナルサイトの活用、その他外部ツールの利用など多くの手段がありますが、どれか一つをとって直接的に投稿数に大きな影響を与えるものではないため、細かくKPI(Key Performance Index)を設定した綿密なプラン設計が必要です。

そんななかで、直接的に投稿数にポジティブな影響を与え易いのが、PMCやMedlineなどのデータベースへの収載やジャーナルインパクトファクター(JIF)の取得です。JIFを持つジャーナルに論文が掲載されることは著者の実績にもつながります。JIF値の分析とコントロールを行うことで投稿数増大効果をより大きくすることができます。

PMC収載はJIF取得に比べて即効性が高く、投稿数増加効果が収載後1年内に現れることが多いように感じます。私たちがコンサルティング・サポートしているジャーナルの中には、PMC収載後翌年には、投稿数が倍に増えたジャーナルもあります。
もちろん日頃から投稿数増加のための工夫や施策を多くうってきた努力の賜物なのですが、PMC収載がきっかけになっていることは間違いありません。
もしも論文投稿数の頭打ちや現象にお悩みであるのであれば、JIF取得やPMCなどの国際的なデータベースへの収載を検討されても良いかもしれません。

データベースへのジャーナル収載に向けた準備申請には相応の労力がかかります。
データベース収載申請・JIF取得の第一歩として、ジャーナル診断で問題点を洗い出してみることをおすすめします。
ジャーナル診断はPMCやESCI(JIFが付与されるデータベース)を初めとする国際的なデータベースの審査基準にジャーナルがどの程度合致しているのか、これからどんなことをしなければならないのかなど、スタート地点の確認に最適です。

2024年1月1日 お知らせ

Web of Scienceの収載誌見直しについて

昨年3月、Clarivate Analyticsは50誌以上をWeb of Science(WoS)から除外し、ジャーナル・インパクトファクター(JIF)をはく奪しました。WoS収載誌の見直しは定期的に行われていますが、この規模の削除は過去に例を見ないほど大きなものでした。

この見直しでは独自開発のAIツールによって500誌以上が収載基準を満たさないとしてリストアップされ、その中から削除対象が選ばれたようです。
削除対象の中にはScopusやPMCといった名だたるデータベースに収載されているジャーナルもありましたし、International Journal of Environmental Research and Public Healthという雑誌に至っては前年のJIFが4.614と分野でも平均以上に引用数の多いものでした。

今回大規模な見直しが行われた背景は2つあると考えています。一つは急成長を遂げているオープンアクセス誌(OA誌)の活動がJIFを実態以上に引き上げるよう働いているとみなされたことです。例えばMDPIというOA誌専門出版社は2010年に創業して以来、急成長を遂げていますが、ゲストエディターを大勢招くことによる頻繁な特集号発行が強力な推進力だと言われています。(中には1日に4つの特集号を発行したジャーナルもあるとか・・・)
今回のWoSからの除外にあたってMDPIとしても大量の特集号を出版するスタイルが問題視されたと認識しているようです。

もう一つはAIツールの登場によるチェック効率の飛躍的向上が考えられます。これまでも見直しによりWoSから除外されるジャーナルがある一方で、最新の国際的基準へのアップデートが遅れているジャーナルも収載され続けています。推測ではありますが、Clarivate Analytics側で問題は認識しつつも除外するほどではないと見なされていたジャーナルもあれば、リソースの関係で不備が見逃されていたジャーナルもあると考えられます。AIツールの登場によりチェックが効率化したことで、今後はこれまでは見逃されていた不備が見つかり、削除対象としてリストアップされる可能性が高まると推測されます。

WoSに収載されるには厳格な審査をクリアしなければならず、品質基準を満たしているジャーナルは全体の15%以下といわれています。しかしClarivate Analyticsが以前からアナウンスしているとおり、WoSへの収載およびJIFの取得は恒久的なものではなく、WoSへの収載にふさわしくないと判断された場合には削除されてしまいます。

昨年よりClarivate Analyticsの体制にも変化が見られますし、これを機にジャーナルのバージョンアップを始めてみてはいかがでしょうか。特に長年WoSに収載されているジャーナルは日々の業務に追われて各所のバージョンアップが遅れてしまっているケースが散見されますのでおすすめです
杏林舎では最新の国際基準に合わせたジャーナル全体のブラッシュアップを承っています。ちょっとしたご相談でも構いませんので、是非お気軽にお問い合わせください。

ジャーナルコンサルティングの「Seekl」
電話番号:03-3918-5005(直通)
E-mail : info@kyorin.co.jp

 

参考

Supporting integrity of the scholarly record: Our commitment to curation and selectivity in the Web of Science
More than 50 journals already de-listed this year for failing to meet our quality selection criteria (https://clarivate.com/blog/supporting-integrity-of-the-scholarly-record-our-commitment-to-curation-and-selectivity-in-the-web-of-science/)

Fast-growing open-access journals stripped of coveted impact factors
(https://doi.org/10.1126/science.adi0098)

2023年12月26日 お知らせ

年末のご挨拶

2023年も残り後わずかですね。

インフルエンザの流行が目立つ冬でしたが、
気を緩めることなく、感染防止対策を徹底していきましょう。

今冬は暖冬傾向でありますが、急な寒さに気をつけて、良いお年をお迎えください。

PS. 2024年カレンダーのお知らせ
杏林舎カレンダー、皆さまのお手元に届きましたか?
卓上版の表紙は干支の「竜(辰年)」をモチーフに、来年のラッキーカラー
「赤色・金色・銀色」を取り入れた3パターンをご用意しました。
たくさん使っていただき、皆様にラッキーが舞い込みますように!

年末年始休業のご案内
休業期間:2023年12月29日(金曜日)~2024年1月4日(木曜日)
※2024年1月5日(金曜日)午前8時30分より営業を開始いたします。
※年末年始休業について、詳細はこちらをご覧ください。

2023年12月21日 お知らせ

2023年「学術出版界」の重大ニュース!

2023年も残すところ残りわずかとなりましたが、振り返ると今年も多くの重大ニュースがありました。杏林舎でも5月には3年ぶりにトロントで現地開催されたCouncil of Science Editors 2023 Annual Conference(CSE:国際科学編集者会議)へ参加し、世界中のサイエンス・エディターと情報意見交換をしてまいりました。(関連記事:「海外セミナー参加レポート」

セミナー期間中にいたるところで話題に上がっていたのがジェンダーやマイノリティに関するトピックです。論文内でのジェンダーや差別的表現に関する規定がICMJE Recommendations (ICMJE)に追記されたのは、カンファレンス後間もなくのことでした。
学術出版界において2023年で最も大きなニュースは    やはりJournal Impact Factor(JIF)の付与基準が変更されたことでしょう。(関連記事:「ジャーナル・インパクトファクター(JIF)の取得にあたって」

JIFへの間口が広く開かれたことによって、今後JIFをめぐるジャーナル間の競争が益々激しくなっていくことは間違いありません。
そして忘れてはいけないのが生成AIの取り扱いに関する規定がICMJEに追加されたことです。(関連記事:「論文執筆時のAI利用は “要注意”」

生成AIの著者権や使用の制限について細かく規定されましたが、実際に不正使用の捕捉が難しいのが現実です。特にJIF基準変更と生成AIの取り扱いについては来年以降に影響が現れてくるため、引き続き注視が必要です。

今年はJIFの付与基準変更やICMJEの改定など、基準の変更が多く起きた印象的な一年でしたね。国際基準は日々アップデートされており、今後もジャーナルを取り巻く環境はめまぐるしく変化していくことが予想されます。2024年も引き続き皆様にとって有益な情報をお届けできるように精一杯務めさせていただきます。

ジャーナル運営についてお困りごとがございましたらぜひお問い合わせください。
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