S1MNEWS No.23 発行のお知らせ
お待たせしました、S1MNEWS No.23 発行しました。
今号は4年ぶりに現地開催されたCSE 2023に弊社スタッフが参加しましたので、そこで得た情報をご紹介しました。学術論文におけるAI利用については、著者・査読者などの作業負担を軽減させる利点がある一方で、AI利用が意図的ではないにしろ論文執筆や審査の不正につながってしまう可能性もあるようです。各団体から見解が出されたことで、不正の蔓延には一定の歯止めがかけられましたが、急速に進む技術開発に利用者側のルールを対応させていく作業は続くと思いますので、弊社でもAI利用の動向を今後も注視していきたいと思います。
また、弊社でご提供を開始しましたeラーニングシステム「KaLibEL」は、少しずつご利用学協会様が増えている状況で、以前に他システムをご利用されていた学協会様にもその利便性にご満足をいただいておりますので、eラーニングシステムの利用をご検討されていらっしゃる場合にはお気軽にお声がけください。
次号では、インパクトファクターを取得されたジャーナルのインタビュー記事の掲載を予定していますのでお楽しみに。
主な記事
■【海外セミナーレポート】Council of S cience Editors 2 023 Annual Conference(CSE:国際科学編集者会議)
■【学術雑誌の知っておきたい基礎知識】ICMJEの2023 年改訂
■<JIF 取得速報>JARC・SSRR
■<サービス紹介>KaLibEL
Web上の反応を計測!近年注目される論文評価指標”Altmetrics”とは?
ジャーナルを評価する指標の代表格としてJIF(ジャーナルインパクトファクター)が有名で一般的に活用されています。JIFは1つのジャーナルに掲載された論文が、過去2年間で他の論文に引用された回数をベースに算出しているため、信頼のおける指標であるといわれています。しかし、JIFには速報性がない、またあくまでもジャーナルの指標であり、掲載論文単位での評価には適格ではない、という大きな2つのデメリットが存在します。
そこで近年注目されている論文評価指標がAltmetricsです。
Altmetricsの主な評価尺度はWeb上での影響力になります。TwitterやFacebookなどのSNSをはじめ、ニュースや動画配信サイトでの反応が計測されます。
影響力をリアルタイムに指標に反映することができる速報性に加えて、論文単位で社会の論文に対する注目度や影響を評価できる指標として注目されています。JIFは学術分野からの反応のみを集計するのに対し、Altmetricsは分野問わず社会全体の反応を集計できるという特徴もあります。
また、JIFはジャーナル単位での評価指標になるのに対して、Altmetricsでは論文単位で評価が集計されます。そのため論文個別の影響力を測るのに適しています。
上記のようにJIFとは大きく違ったメリットがあるAltmetricsですが下記のようなデメリットも存在します。
- Web上での計測が行えないテレビやラジオ、新聞などの反応は計測されない
- 学術的価値の低い論文が注目され、評価が高くなる可能性がある
- Web上での情報の拡散が容易にできるため不正が行われる可能性がある
今後は単に被引用回数だけでなく、Web やSNS介した影響力など様々な視点からAltmetricsが表示された論文を目にする機会が増えてくることが予想されます。
そのため、Altmetricsのメリットとデメリットをしっかりと把握してJIFと合わせて有効利用したいですね。
杏林舎では、Altmetrics の向上に有効なSNS運営サポートプランを提供しております。気になった方は御気軽にご連絡ください。
» お問い合わせフォーム
そのほかにもジャーナル運営サポートプランがございます。詳しくはこちらを御覧ください。
» ジャーナル・コンサルティング
2誌が新たにインパクトファクターを取得!
日本時間の2023年6月28日に2022年Journal Impact Factor (JIF) がClarivate Analytics社から発表されましたが、杏林舍が創刊からサポートしている2ジャーナルが今年、新たにJIFが付与されました。
2016年の創刊準備開始の時点から、杏林舍は日本大腸肛門病学会が発行するJournal of the Anus, Rectum and Colon (JARC)、日本脊椎脊髄病学会が発行するSpine Surgery and Related Research (SSRR)の創刊に向けたコンサルティング、そして創刊後のEditorial Officeとしてジャーナル運営全般に関するサービスと課題解決のサポートを行ってまいりました。
杏林舍のコンサルティングが提供するジャーナルの成長戦略は、当初からPMCやDOAJなどのデータベース収載だけではなく、JIF取得を主眼においており、その戦略に沿って編集委員会と共に着実に準備を進めました。
両誌共に2017年の創刊と同時にClarivate Analytics 社の提供するWeb of Scienceに申請を行い、2018年からEmerging Science Citation Index (ESCI) に収載されていました。2022年10月にClarivate Analytics 社から突如発表されたJIFの付与ルール変更に伴い、2023年に発表された2022年JIFからJARCとSSRRの2誌がJIF対象となりました。
なお、JARCは1.4、SSRRは1.2という結果でした。今後はJIFの向上が両誌の課題となります。
杏林舍では、この他にも現在複数のジャーナルにJIF取得に向けたコンサルテーションを提供しています。
論文執筆時のAI利用は “要注意”
日本時間の5月18日に医学領域における国際基準を策定している国際医学雑誌編集者委員会のICMJE(国際統一投稿規定)の改訂がありました。https://www.icmje.org/news-and-editorials/icmje-recommendations_annotated_may23.pdf
今回の改訂における主な変更点ではAI を用いたソフトウエア等に関する項目が追加されました。主な内容としてはAI生成技術を著者として認める事は出来ない、また論文の執筆時や研究課程においてそれらの技術を使った場合、どの様な方法で何に使ったのか、を開示する必要があります。また、AI生成技術から得た情報を文献として引用する事は不適切であるとのことです。
それ以外にも「機密性を維持するにあたり、出版前の論文をAIソフトウエアにアップロードしてはならない」と記載があります。これが意味する事は、出版前の論文をAIにアップロードすることで、論文の内容がAIの学習機能に取り込まれてしまい、その情報が別の検索機会に活用されていくことになります。よって、この様な行為は学術出版における機密保持の侵害に繋がり、医学出版倫理上、倫理違反となります。
AI機能は非常に便利な機能ですが、使い方を間違えると知らぬ間に情報漏洩に加担している事になりかねませんので、是非気を付けて利用してください。
また、上記に付け加え、Reporting Guidelinesとして、CONSORTやCAREなどのこれまでの研究デザイン別のガイドラインに加えて、性別やジェンダーに関するガイドラインSAGERが追加されました。
S1MNEWS No.22 発行のお知らせ
お待たせしました、S1MNEWS No.22 発行しました。
特集レポート①では、前号に続き“国内論文投稿状況”の第2弾として、2018~2022年の論文投稿数の集計結果をご紹介します。
調査は、2018/1/1~2022/12/31の期間でScholarOne Manuscripts利用ジャーナルの中で5年間の投稿実績のある157誌(和文誌:94誌、英文誌:63誌)を対象としてデータを抽出し、さらに年別・月別・分野別・国別などで集計しています。
また、特集レポート②では「学術集会開催の最近の傾向」として、2021年から急速に増えてきた「ハイブリッド開催」についての実態について紹介しています。
最後に、この度弊社にてスタートした「ジャーナル診断」サービスについてご紹介させていただいています。
JIFがESCI収載ジャーナルへも付与されるようになり、様々な関連記事をネット上で見かけるようになりました。これまでよりもIF取得が容易になったことで、より多くのジャーナルが国際的な認知度を高める追い風になっているかと思います。
もしジャーナルの価値や認知度を高めるための手段にお困りのことがございましたら是非ご利用ください。
詳しくは、S1MNEWS No.22 をご覧ください。
主な記事
■①国内論文投稿数の推移
■②学術集会開催の最近の傾向
■学術雑誌の知っておきたい基礎知識
■<新サービス紹介>ジャーナル診断